性別違和とは、ある人が感じる自分の性別と出生時に決められた性別とが異なるために生じる強い心理的な苦痛のこと。岡山大学病院の大島義孝医員は、学術研究院医歯薬学域精神神経病態学分野の研究グループにおいて、日本での性別違和の人口割合を調査した結果、従来の研究の推定値を大幅に上回ることが分かった。

 性別違和の人口割合は従来、専門のクリニック受診者数により求めた。これは受診しない人を除くため実際より低い値になる。近年の研究は、一般人口のサンプルから対象集団の割合を算出するが、質問が簡素で、身体的治療(ホルモン療法や手術)への意向を重視しているが、性別違和に悩む人が身体的治療を望むとは限らないため適切な方法ではない。

 そこで、研究グループは今回、2段階の調査を実施。まず、インターネット調査会社に登録された2万人(20~69歳)の性別の自己識別を調べ、トランスジェンダーの可能性のある人々を集めた。また、2種類の性別違和(狭義、広義)を定義した。次に、対象者にユトレヒト性別違和スケールという信頼性の高い質問票を初めて使用した。

 その結果、性別違和の年齢調整人口割合は、狭義では出生時に男性とされた人の0.27%、出生時に女性とされた人の0.35%、広義ではそれぞれ0.87%、1.1%と推定された。これは2015年のオランダにおける推定値の11~35倍にのぼる。また、性別間の有意差は認めなかったが、両性とも若年層の方が高年齢層よりも高い値を示した。

 今回の結果は、専門のクリニックで診断・身体的治療を受けていない人々の中にも性別違和に苦しむ人が多くいる可能性を示唆している。医療、教育、政策や研究領域でも、身体的治療に重点を置く従来の画一的な見方に見直しが求められるとしている。

論文情報:【The Journal of Sexual Medicine】Prevalence of Gender Dysphoria by Gender and Age in Japan: A Population-Based Internet Survey Using the Utrecht Gender Dysphoria Scale

岡山大学

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