岩手大学は、名古屋大学、英国リバプール大学との共同研究で、ネコのマタタビ反応に特徴的なしぐさとして見られる葉を舐めたり噛んだりする行動には、マタタビに対するネコの反応性を増大させる効果があり、マタタビの持つ蚊の忌避活性も強めることを解明した。
ネコはマタタビを見つけると、葉を舐めたり噛んだり、葉に顔や頭をこすり付けたり、葉の上でゴロゴロ転がるなどの特徴的な行動を示す。このマタタビ反応は、1950年代にネコがマタタビラクトンと呼ばれる複数の化学成分を嗅ぐと起きる現象と報告された。研究グループは、昨年(2021年)、マタタビ反応を誘起する強力な活性物質としてネペタラクトールを発見。これには蚊の忌避効果があり、マタタビ反応をしたネコは蚊に刺されにくくなる事を報告した。しかし、ネコは肉食でマタタビを食べないのに、なぜ反応中にしきりに葉を舐めたり噛んだりするのかは不明だった。
研究グループは、ネコの舐め噛みにより傷ついたマタタビ葉は、特有の青臭いにおいを放出することに着目し、放出される有効成分の量を調べた。その結果、ネペタラクトールとマタタビラクトン類の放出量が10倍以上増加していた。また、傷ついた葉では放出する両成分の組成比も大きく変わり、実験ではネコは組成比が変化した方に長い時間、体を擦り付けるなどの反応を示した。これにより、蚊を忌避する有効成分が多く体に付着すると考えられた。
研究グループは、ネコがマタタビに含まれる蚊の忌避成分を最も効果的に利用できるように巧みに進化したと考えている。今回の成果は、ネペタラクトールを活用した蚊の忌避剤開発において重要な知見となることが期待されるとしている。