大学や研究機関と有期契約を結んだ研究者のうち、数千人が2023年3月末で雇止めされる可能性がある問題で、日本学術会議幹事会は2022年7月12日、政府と大学、研究機関、日本学術会議が協力して解決に当たる必要があるとする声明を発表した。

 日本学術会議によると、有期雇用労働者は2013年の労働契約法改正で労働契約が5年を超えると無期雇用に転換する権利が与えられたが、研究者は無期労働契約に転換する期間が5年から10年となり、2023年3月末で10年間の任期が満了となる研究者が相次ぐ見通し。

 この事態への対処は大学や研究機関が個別に進めており、一律で無期契約への転換を認める動きがある一方、無期転換を認めないために雇止めしようとする動きも見られる。

 雇止めとなると、進行中の研究が停滞するばかりか、若い世代が研究職に希望を見い出せなくなることが予想される。日本の研究力向上に対しても、極めて深刻な事態の発生となる。

 日本学術会議幹事会はこの問題の解決に雇用維持制度の確立や財源の確保などが欠かせず、個別機関の対応で解決するのが困難だと指摘した。そのうえで、最悪の事態を回避するために、政府と大学、研究機関、日本学術会議が状況の深刻さを共有し、抜本的な解決策を打ち出す必要があると強調している。

参考:【日本学術会議】日本学術会議幹事会声明 有期雇用研究者・大学教員等のいわゆる「雇止め」問題の解決を目指して(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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