東京工業大学と東京医科歯科大学が研究力の強化などを目指して近く、法人統合の協議に入る。ともに世界最高水準の教育研究活動が期待される指定国立大学で、実現すれば指定国立大学同士の統合は全国初となる。
東京工業大学によると、東京工業大学は理工系、東京医科歯科大学は医学系でそれぞれ国内トップクラスの研究力を持つが、益一哉東京工業大学学長、田中雄二郎東京医科歯科大学学長を中心とした議論の中で、両大学の研究を自由な発想でかけ合わせることにより、社会の課題解決につながる新しい学術分野を生みだすことができるのではないかと期待し、協議入りを決断したとしている。
法人統合後、2つの大学を運営するのか、それとも大学を1つに統合するのかについては、今後の協議の中で判断するもよう。
政府は財政投融資を主な原資として10兆円規模の大学ファンドを創設し、2024年度から運用益を用いて年数百億円の支援を最大5~7校にする方針。その対象校となる「国際卓越研究大学」の公募が年内に始まる予定で、両大学は応募を視野に入れて研究力をさらに高めたい考え。
日本の研究力はこのところ、自然科学系の論文発表数などが停滞し、国際的な地位低下が続いている。指定国立大学2校の法人統合がきっかけになり、現在の苦境を打開する動きが広まることを期待する声も出ている。