千葉工業大学はNFT(非代替性トークン)による学修歴証明書の発行を始めた。「web3」と呼ばれるブロックチェーン技術による分散型インターネット時代を見据えて進めているツール開発の一環で、国内の大学が発行するのは初めて。郵送で取り寄せるなどの手間なく様々なプラットフォームに接続して学びの成果を公式にアピールでき、多様化・国際化が進む学生のキャリア支援を後押しする。
人材市場が大きく変革し特定の知識や技能を求めて世界中から人材を獲得する動きが広がるなかで、特に千葉工業大学が多く輩出する技術職・エンジニア職の市場価値は高まっている。学修歴証明書のNFT化によりさまざまなプラットフォームにウォレットを接続するだけで表示が可能となり、学びの成果をワンストップでアピールすることができる。また、ブロックチェーン証明書の世界標準規格といえる技術を採用し、国際的に通用するようにしている。
千葉工業大学によると、学生の学修歴証明書を改ざんが難しいブロックチェーン上に記録した。ただ、ブロックチェーン上は透明性が増す一方で、すべての情報が全世界に公開される。このため、成績や細かい単位の情報をオフチェーンと呼ばれるブロックチェーン外に収納し、雇用サイドの照会があったときだけ表示するなど、学生のプライバシーにも配慮した仕様を盛り込んだ。また、売買は不可能な設定になっており、学位が市場で取引されるリスクも回避している。
NFTによる学修歴証明書の作成は学内プロジェクトとして立ち上げ、ポッドキャスト制作会社のPitPaと共同で開発した。2022年前期に武邑光裕研究員の「メディアと文化」など2授業で単位を取得した学生に発行している。