九州大学大学院農学研究院付属昆虫科学・新産業創生研究センターは福岡県嘉麻市と連携協定を締結した。九州大学産学官民連携セミナーの地域政策デザインスクール受講生がまとめた「昆虫産業都市構想Kamacity6.4」に基づき、嘉麻市を昆虫ビジネスの拠点に育てる。
九州大学によると、協定の締結式は嘉麻市役所であり、昆虫科学・新産業創生研究センター長の日下部宜宏教授と嘉麻市の赤間幸弘市長が協定書に署名した。協定では、食料などとして最近、注目が高まっている昆虫のビジネス化をテーマに、新たな社会・経済システムの構築や人材交流、共同研究、研究成果の地域還元などでスクラムを組むとしている。
嘉麻市は福岡県中部に位置し、人口約3万4,000人。2006年の平成の大合併で旧山田市と嘉穂町、碓井町、稲築町が対等合併して発足した。旧山田市はもともと炭鉱町で、石炭産業の衰退後、急激な人口減少と雇用の場の減少に苦しんでいる。
このため、2021年度の地域政策デザインスクールに参画し、雇用の創出をテーマに解決策を求めたところ、学生や民間企業社員らで構成する受講生から昆虫産業都市構想を提案され、これを実行するために、昆虫科学・新産業創生研究センターと協定を締結した。
昆虫産業都市構想はカイコを使った細胞培養用血清の事業化などバイオ・メディカルプロジェクト、コオロギの養殖などフードプロジェクト、九州大学が所蔵する昆虫標本を嘉麻市に移して体験型博物館を開設するなどミュージアムプロジェクトを3本の柱とし、計500人の新規雇用を目指している。