藤田医科大学の飯塚勝美教授らの研究グループは、食事記録アプリについて検討し、カップ麺や野菜ジュースなどの既製品は簡便・正確に測定できるが、特殊な食事(病院食)では結果の解釈に注意が必要であることを明らかにした。

 食事量の評価法にはさまざまあるが正確な測定は難しい。食事記録アプリは機能の簡便性から使用者が多く魅力的な方法だが、その正確性は不明だ。藤田医科大学病院国際医療センターでは、精密健診での栄養評価に食品摂取頻度調査と3日間の記録紙法を用いているが患者の労力・負担が大きい。そこで、食事記録アプリ導入のため、その正確性を検討することにした。

 研究では、エネルギー量と3大栄養素の含有量の分かっている食事を2種類用意した。一つは、若年者がコンビニで昼に買う食事を想定し、カップラーメン+野菜ジュース(コンビニ食)、もう一つは病院で提供される常食(病院食)だ。これらの食事に対し、日本でシェアの高い2種の食事記録アプリ(あすけん、カロミル)を用いて、参加者18名に5日間(合計5回)計測を行った。

 その結果、コンビニ食では2つの食事記録アプリは、初めての使用でも個人や年齢によらず、簡便かつ正確に栄養価を評価できた。他方、病院食ではエネルギー量を含め、栄養価を過大評価していた。栄養素の中では塩分や脂質の評価に困難があった。

 病院食は患者用に食塩・脂質を減らすなどの工夫を凝らした食事メニューのため、アプリはエネルギーや栄養素を過大評価することが分かった。脂質・塩分・砂糖は見た目では含有量の評価は難しいため、食事記録アプリと血液や尿などのバイオマーカーとを組み合わせた栄養評価法を開発したいとしている。

論文情報:【Nutrients】Nutritional Assessment of Hospital Meals by Food-Recording Applications

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