順天堂大学医学部の松川岳久准教授、東京大学大学院医学系研究科の安藤俊太郎准教授、東京都監察医務院の鈴木秀人前院長らの研究グループは、自殺者の眼房水中リチウム濃度が非自殺者より低いことを見つけた。死後変化が少ない眼房水を解析し、体内リチウム濃度を比較した研究は初めて。

 順天堂大学によると、研究グループは2018年3月から2021年6月までに東京都監察医務院で検案、または解剖された死者29人から眼球の毛様体で分泌される眼房水を採取し、リチウム濃度を測定した。その結果、自殺者は非自殺者に比べ、眼房水中リチウム濃度が有意に低い結果が出た。

 これまでの研究で食物から摂取する微量リチウムが自殺予防に効果を持つことが示唆されているほか、飲料水中のリチウム濃度と地域の自殺率にも相関関係があるとする報告が出ている。炭酸リチウムは1949年から躁うつ病の治療に用いられ、攻撃性と衝動性を抑えて自殺防止に役立つと考えられている。

 研究グループは今回の調査でリチウムに自殺を防止する効果があることが確認されたとみている。自殺者は世界で毎年約70万人を数え、日本では若い世代の増加が目立ってきたため、増加する自殺率を抑えるために微量リチウムの活用展開が期待できるとしている。

論文情報:【Translational Psychiatry】Comparison of lithium levels between suicide and non-suicide fatalities: Cross-sectional study

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