神戸大学大学院医学研究科産科婦人科の寺井義人特命教授らは、世界で初めて、国産の手術支援ロボットであるhinotoriサージカルロボットシステムを用いた子宮体癌の手術を実施した。
ロボット支援下手術は、手術器具や内視鏡を取り付けた4本のアームを持つロボットを用いて行われ、医師は患者の体から離れたコックピットで内視鏡の立体画像を確認しながら遠隔でアームを操作して手術を行うことができる。人間の手では届かないような部位でも、ロボットアームなら入っていくことができるので、緻密な手術操作が可能となることから、婦人科領域のように骨盤部の奥深い部位での手術操作に適しているとされる。
一方、手術支援ロボットは米国で開発されたda Vinci®が全世界的にシェアのほとんどを占めており、輸入機器に頼らざるを得ない状況で今日に至っている。そのため、国産手術支援ロボットの開発が期待されてきた。
神戸大学と株式会社メディカロイドが開発したhinotoriサージカルロボットシステムは、da Vinci®に比べコンパクトで機能的なロボットアーム、エルゴノミクスデザインに基づく操作端末、高精細な3D画像が特徴である。2020年8月に薬事承認、9月に泌尿器科領域において保険適用を経て、同年12月に神戸大学で初めて同システムを用いたロボット手術(前立腺がん)が行われた。
これに続き、2022年12月より、婦人科領域および消化器外科領域にも保険適用が拡大されたことから、今回、世界で初めてhinotoriサージカルロボットシステムを用いた子宮体癌手術が神戸大学で実施にこぎつけた。
輸入機器の独占であったロボット支援下手術の世界で、今後、hinotoriによるロボット手術が広がっていくことが大いに期待される。