思考力・表現力・判断力といった知識やスキルを活用する力は、2025年からの大学入学共通テストで問われる能力であり、答えのない問いに向き合い解決するこれからの時代に重要な能力でもある。2022年度「探究特進科」を新設した福井県立勝山高等学校は、この能力をAIを活用して客観的に可視化する評価ツール「Ai GROW(アイ・グロー)」を福井県で初めて導入した。

 「知識やスキルを活用する力」の育成にあたっては、各学校現場では授業の工夫が求められるだけでなく、多様な能力を含むため従来のテストでは評価が難しく、評価基準が曖昧になりやすい。勝山市唯一の普通科教育課程高等学校である勝山高等学校は、2022年度から全国の高等学校で全面実施となった探究型学習に注力するため、新たな学科「探究特進科」を新設。今後、探究特進科や普通科において探究型学習を核として進めていくために、学校独自のルーブリック評価※の開発の他、外部の客観性が担保された評価ツールとして「Ai GROW」を導入した。

 「Ai GROW」はInstitution for a Global Society株式会社が2019年4月にリリースしたサービスで、生徒一人ひとりの強みを可視化・育成するための評価ツール。生徒の自己評価に加えて生徒同士が評価をする「相互評価」の方法を取り入れ、人が人を評価するうえで生じやすい忖度や性格の甘辛などの不要な評価の偏りをAI(人工知能)が補正して25種類もの「知識やスキルを活用し、問題解決するための力」を公正に可視化することができる。現在、国内外の小学校・中学校・高等学校250校以上、39都道府県(今回の福井県初導入を含める)に導入されている。

 勝山高等学校は、「Ai GROW」導入を通じて従来の学力にとどまらない生徒の多様な資質・能力の育成状況を定期的に可視化し、探究型学習を中心とした教育効果の検証を行う。

※ルーブリック評価とは、学習の達成度を、表を用いて測定する評価方法。ディスカッションやグループワークなどで学習する「技能」「表現力」「思考力」「判断力」といった実演でのパフォーマンスや、「興味・関心」「意欲」「態度」といった課題への取り組み姿勢を明確に評価できる。

参考:【PR TIMES】【福井県初】新共通テストで求められる「知識を活用する力」の育成に向けて、福井県立勝山高等学校が、AIを活用した評価ツール「Ai GROW」を導入。今年度新設の「探究特進科」で伸びた力の定量評価の実現も 

大学ジャーナルオンライン編集部

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