東京大学地震研究所小屋口剛博教授、鈴木雄治郎助教らは、数値シミュレーションを用いて超巨大噴火での噴煙の高さや広がりを調べ、噴火の規模が変わると噴煙の形状や振る舞いが大きく異なることを明らかにした。

 爆発的な火山噴火では火山灰を多く含む噴煙が放出され、火山の真上に上がる噴煙柱や地表を流れる火砕流が作られる。上空の噴煙は航空機の運航の障害になり得るし、火砕流は人命を危険に晒してしまう。巨大噴火が起こった時にどのように被災が広がるかは関心の高い問題であるが、我々はこれまでに直接、カルデラを形成するような超巨大型の噴火を経験したことがなく、超巨大型噴火で被災する領域を正確に予測することが不可能であった。

 そこで、同グループは、数値シミュレーションを用いて超巨大型噴火での噴煙の高さや広がりを調べた。独自に開発した3次元の流体シミュレーションを行った結果、1991年のピナツボ火山の噴火程度だとほとんどの噴煙は上空で噴煙柱を形成すること。数倍大きな噴火では噴煙柱と火砕流が同時に形成されることが分かった。規模がピナツボ火山の10倍にもなると、噴煙は火砕流として流れ、火砕流の上面から「灰かぐら」と呼ばれる噴煙があがること、さらに規模が大きくなると、火砕流の先端に濃い噴煙が集まり、リング状の灰かぐらが形成されることなども初めて明らかにされ、噴火の規模により噴煙の形状が大きく異なることが示された。

論文情報:【Nature Communications】Understanding the plume dynamics of explosive super-eruptions

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