摂南大学農学部の久保康之教授、小玉紗代助教、仏マルセイユ大学、金沢大学疾病モデル総合研究センターなどの研究グループは、ウリ科植物に感染して壊死病斑を引き起こす炭疽病菌の感染の仕組みを世界で初めて解明した。
摂南大学によると、植物病原性のカビの仲間である炭疽病菌は植物の内部へ侵入するため、付着器と呼ばれる特殊な細胞を植物の表面に形成し、針のような菌糸を植物に突き刺してさまざまなタンパク質を送り込むことで感染させようとする。
研究グループはこの際、炭疽病菌が付着器からアルコール酸化酵素、ペルオキシダーゼという2つの酸化酵素を分泌し、2つの酸化酵素がペアになって植物表層の長鎖アルコールから長鎖アルデヒドを生成することを発見した。
感染過程で炭疽病菌の全遺伝子発現解析をしたところ、長鎖アルデヒドの生成が炭疽病菌の病原性に関係する遺伝子群の発現を誘導していることが明らかになった。
こうした酸化酵素のペアは植物病原菌に特異的に存在する。研究グループは今回の研究成果を基盤として酸化酵素を介した病原性発現を阻害する新たな防除薬剤の開発につながるのではないかと期待している。
論文情報:【Science Advances】Tandem metalloenzymes gate plant cell entry by pathogenic fungi