父親が職業で化学物質にばく露することが子どもの先天性心疾患発生リスクと関連している-。大阪大学大学院医学系研究科の磯博康招聘教授らの研究グループが父親の職業性化学物質ばく露が与える子どもへの影響を調べたところ、こんな結果が出た。

 大阪大学によると、研究グループは父親2万8,866人を対象にパートナーの妊娠が判明するまでの3カ月間に仕事で化学物質ばく露があったかどうかを尋ね、なし、月1~3回、週1回以上に分類、生まれてきた子どもの先天性心疾患との関係を調べた。

 その結果、120人の子どもに先天性心疾患が見られた。父親がコピー機やレーザープリンター、水性ペイント、インクジェットプリンターを週1回以上、エンジンオイル、はんだなど鉛を含む製品、無鉛はんだなどを月1~3回使用していると、ない場合に比べて子どもの先天性心疾患発生リスクが高くなることが分かった。

 さらに、有機溶剤、塩素系漂白剤、殺菌剤も月1~3回のばく露で先天性心疾患発生リスク増加と関連していることが明らかになった。

 ただ、今回の調査は質問票への回答を基に分析した結果で、血液中や尿中など生体試料の化学物質濃度を基にしていない。このため、研究グループは今後、客観的指標を用いた調査を進める必要があるとしている。

論文情報:【Environmental Health and Preventive Medicine】Paternal Occupational Exposures and Infant Congenital Heart Defects in the Japan Environment and Children’s Study

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