科学技術振興機構は初の財投機関債となる第1回科学技術振興機構債券発行を決め、発行条件を決定した。調達した資金は科学技術振興機構が運営を担う大学ファンドの運用に充て、大学などでの研究充実推進を図る。
科学技術振興機構によると、発行額は200億円。利率は0.061%で、2月20日に発行し、2025年2月21日償還とする。事務主幹事社は野村證券、共同主幹事社はみずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が務める。受託会社は三井住友銀行になる。格付投資センターは事業の方向性が安定しているとし、AA+と評価した。
大学ファンドは10兆円規模。第6期科学技術・イノベーション基本計画などに基づき、世界最高水準の研究大学を目指す「国際卓越研究大学」を集中支援し、若手研究者の育成、活躍推進などに資金を活用する目的で創設された。今後、運用益が大学の研究力強化や全国の優秀な博士課程学生への経済的支援に充てられる。
日本は国際的な経済地位の落ち込みが続く中、引用数の多い論文の世界に占める割合低下など研究力の地盤沈下が大きな問題になっている。博士課程へ進学する大学生も減少傾向にあり、デジタル部門や環境部門などの研究力強化が先進国の地位を保つうえでの大きな課題に浮上している。