2023年3月31日、文部科学省は「研究者・教員等の雇用状況等に関する調査」(令和4年度)の調査結果を公表した。2022年度末で有期雇用契約が通算10年に達する任期付きの大学教員、研究者のうち、無期雇用に転換できる可能性がある人が半数弱にとどまることが分かった。未定が40%強存在するが、雇い止めを考える大学、研究機関が少なくない現状が浮かび上がっている。

 調査は2022年9月、全国の国公私立大学、大学共同利用機関法人、研究開発法人を対象に実施し、計820機関からの回答を集約した。

 それによると、2022年度末で有期雇用契約が通算10年に達する任期付きの大学教員、研究者は1万4,029人いた。このうち、2022年度末までに無期雇用へ転換したか、転換する予定の人は、全体の0.8%に当たる117人、2023年度以降に無期雇用へ転換する予定の人は、3.3%の462人にとどまった。

 2023年度以降も有期雇用を継続するか、継続の可能性があり、無期雇用への転換申込の権利が発生する人は、45.2%に当たる6,337人。これを含めても無期雇用へ転換できる可能性がある人は、49.3%の6,916人しかいない。未定の人が40.4%に当たる5,672人いたものの、2022年度末までに雇用契約を終了し、その後雇用契約を結ぶ予定がない人は7.9%の1,112人いた。

 2013年施行の改正労働契約法は契約期間が5年を超えると無期雇用に転換できると規定した。このうち、大学教員や研究員は無期雇用契約転換を申し込める期間を特例で10年としている。しかし、国の交付金や補助金の削減、18歳人口減少による入学生不足など大学経営を取り巻く環境が厳しさを増していることから、雇い止めを示唆する大学などが相次ぎ、問題になっている。

参考:

>【文部科学省】「研究者・教員等の雇用状況等に関する調査」(令和4年度)の 調査結果を公表します

大学ジャーナルオンライン編集部

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