上智大学、青山学院大学、中央大学、ボンド大学(オーストラリア)の共同研究グループは、新製品の広告に「冷たさ」を連想させる背景画像を用いた場合、製品に対する「新しさ」の知覚が高まることを明らかにした。
広告画像は消費者による製品の新しさの知覚に関わるが、その背景画像は重要な役割を果たしている。従来の研究から、消費者が製品に対して新しさを感じるのは「曖昧さ」(製品の特徴を明確に評価することの難しさ)が要因の1つと分かっていたが、詳細は未解明だった。
研究グループは、実際の自動車の広告を目にしたことをきっかけに、広告クリエイターや消費者が「冷たさ」=「新しさ」という連想を無意識に持っている、という仮説を立てた。検証のため、広告の背景画像から伝わる温度感と広告製品への新しさ知覚との関係性の解明に取り組んだ。
その結果、広告に冷たさを連想させる背景画像(雪景色の写真など)を掲載することで、広告製品に対する新しさの知覚が高まることが示された。これは、冷たさが広告製品に対する心理的遠さを連想させ、そこから製品の曖昧さが想起されたことによると判明した。
また、仮説で予測された効果は、広告製品の外観がモダンな場合に現れやすく、広告製品の外観がアンティーク調のときは効果が消失した。さらに、背景画像によってもたらされる新しさの知覚は、広告製品の購入予定が遠い将来にある場合には消費者の製品評価を高め、近い将来に購入予定がある場合には製品評価を低下させた。
今回の研究をさらに発展させることで、製品や企業への革新的なイメージを作り上げる効果的な広告コミュニケーションの開発に対する貢献が期待されるとしている。