新潟大学の研究グループは、生まれた年(世代)と透析導入率の関連を検討した結果、透析導入率は男性1940-60年代頃、女性1930-40年代頃生まれで高く、最も高かったのは男性1967-71年生まれ(2023年現在52~56歳)、女性1937-41年生まれ(現在82~86歳)であることを明らかにした。
我が国の透析導入率は世界で6番目に高く、人口100万人あたりの透析患者数にすると2,749人と、世界で3番目に多い(2020年時点)。人口高齢化の影響により、今後もさらなる増加が危惧されている。
これまで、透析導入率の経年変化については、年齢(高齢になるほど透析導入率は高い)・時代(以前に比べ、近年の透析導入率は横ばい~低下)の影響が検討されてきたが、世代(生まれた年)の影響は検討されてこなかった。そこで、今回の研究では、年齢・時代・世代の影響に分けて評価するAge-period-cohort(APC)分析の解析手法を用いて、日本の一般住民に占める透析導入率の40年間にわたる経年変化を調べた。
この結果、年齢・時代の影響を調整しても、透析導入率は1900年代初め生まれよりもその後に生まれた人で高く、男性では1940-60年代頃、女性では1930-40年代頃生まれでピークだった。その後は低下傾向を認めた。例えば、1900年初め頃に生まれた人よりも1930年頃に生まれた人の方が、同じ年齢階級でも透析導入率が高く、逆に1960年頃に生まれた人よりも近年に生まれた人の方が、同じ年齢階級でも透析導入率が低い傾向にあったという。
最も高い透析導入率を示したのは、男性は1967-71年生まれ、女性は1937-41年生まれだった。なぜ、これらの世代で透析導入率が高いのか、その理由は不明だが、特に1967-71年生まれの男性が高い透析導入率を示したことは注目すべき初見である。これらの年代に生まれた人は、2023年時点で52-56歳の働き盛りであることから、積極的な腎臓健診の受診勧奨が必要かもしれないとしている。