順天堂大学大学院医学研究科スポートロジーセンターの田端宏樹博士研究員、田村好史先任准教授、河盛隆造特任教授、綿田裕孝教授らの研究グループは、中学・高校生期と高齢期の両方で運動習慣を持つ高齢者が骨格筋機能の低下で身体に障害が生じるサルコペニアのリスクを軽減させることを見つけた。
研究グループは東京都文京区の高齢者1,607人(男性679人、女性928人)の骨格筋量や握力、最高歩行速度などを計測するとともに、運動習慣を聞き取って解析した。
その結果、男性では中学・高校生期と高齢期の両方で運動習慣を持つ人が両時期に運動習慣がない人よりサルコペニアの有病率が0.29倍、筋量低下の保有率が0.21倍、筋力・身体機能低下の保有率が0.52倍低かった。女性ではサルコペニアの有病率に差が見られなかったが、筋力・身体機能低下の保有率が0.53倍低くなっている。
骨格筋機能は20~25歳でピークを迎え、50歳ごろから低下が進むと考えられている。研究グループは中学・高校生期に運動することでピーク時の骨格筋量を高め、高齢期の運動がサルコペニア予防に効果を持つとみている。
サルコペニアは日常生活の動作が制限されるほか、転倒や骨折など要介護につながるさまざまな悪影響を引き起こす。アジア人は欧米人に比べ、生来の骨格筋量が少なく、サルコペニアになりやすいとされる。