2020年度からスタートした国の修学支援新制度で、2年目の2021年度に支援対象者が増え、適格審査で「警告」や「廃止」とされる学生も増えたことが、日本私立大学連盟の奨学金等調査報告書で明らかになった。
修学支援新制度は修学に意欲的であるものの、経済的な理由で進学をあきらめる学生を救済する目的でスタートした。対象者には授業料や入学金の減免と給付型奨学金の支給があるが、学業成績の適格審査が行われ、次年度も支援を受ける適格性があるどうかを調べる。
調査は全国122の加盟校を対象に2022年11月、配布したエクセル文書への回答記載方式で実施、私大連学生委員会奨学金等分科会で集計した。
それによると、修学支援新制度開始2年目で「在学予約」がなくなり、新規採用人数は減少した。「高校予約」は初年度から増加し、2021年度は15,490人となった。「定期採用」は初年度の16,522人から大幅に減少し、8,922人となった。
支援対象者の数は、初年度の53,571人に対して23.0%増加の65,884人。支援対象者は 世帯年収に応じた3つの支援区分全てで増加した。また「自宅生」「自宅外生」とも増加しているが、特に「自宅生」は前年に比べて35.9%増加しており、「自宅外生」の31.3%よりも増加幅が大きくなっている。
支援の内容は「授業料の減免のみ」が初年度219人から401人に大幅に増加している。一方「給付奨学金のみ」は初年度777人から214人に大幅に減少している。「貸与奨学金との併用」に関しては、「第一種」「第二種」「第一種・第二種併用」のいずれも増加している。
春学期末に学業成績の適格審査で「廃止」と判定された学生は67人で、前年度の21人から3倍以上に増えた。そのうち、「認定取り消し」に至った学生も51人おり、前年度の13人から約4倍になっている。
秋学期末に「警告」と判定された学生は7,808人。前年度の7,182人から600人以上増えた。「廃止」は3,980人で、前年度の738人から5倍以上に増加している。廃止判定のうち、「認定取り消し」となった学生は1,384人と、前年度の274人の5倍以上となったが、割合で見ると34.8%で、前年度の37.1%と大きな変化が見られなかった。
私大連は修学支援新制度の2年目で審査が厳格になったことや2年連続の「警告」によって「廃止」となるケースが増えたためとみている。
「継続」と判定されれば次年度も支援が続く。「廃止」になると支援が打ち切られ、「認定取り消し」となれば支給済みの支援金返還が求められる。「警告」となれば支援が続くものの、警告に連続して該当すれば「廃止」と判定される。
報告書ではこのほか学内奨学金と日本学生支援機構奨学金についても調査結果を公表している。