文部科学省は急速な少子化で国内の18歳人口が大幅に減少する将来の高等教育のあり方を中央教育審議会に諮問した。現在、100%を超す定員充足率が80%強に落ちることを見越し、大学の統合・削減が避けられないとして、中教審に議論を委ねる。

 文科省によると、国内の18歳人口は2022年で約112万人。ピークだった1966年の約249万人の半数以下に落ち込んでいる。2022年の出生数が統計開始以来最少の約77万人だったことを考えると、今後18歳人口がさらに減少する。

 大学進学者数は2022年、過去最高の約64万人に達した。大学進学率が大きく伸びているためで、1966年の約29万人と比べると、2倍以上になる。しかし、今後はさらに進学率が伸びたとしても少子化の影響のほうが強く表れる見込み。2040年の大学入学者は約51万人に減り、2050年までの10年間、50万人前後で推移すると予測されている。その結果、定員を満たせずに経営を悪化させる大学がかなり増えそうな見通しで、文科省は大学の統合や廃止が避けられないとみている。

 諮問では、こうした大学入学者の減少を見越して今後の高等教育の適正規模を視野に入れながら、高等教育へのアクセス確保のあり方や再編・統合の促進、高等教育機関間の連携強化、学部構成や教育課程の見直しなどについて中教審での議論を求めている。

参考:【文部科学省】急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について(諮問)

大学ジャーナルオンライン編集部

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