東京理科大学では、日本で唯一の夜間の理学部である、理学部第二部で既に実施している長期履修制度の対象者を2024年度からさらに拡大し、理学部第二部に1年次で入学した全員が活用できるようにする。
長期履修制度は、職業を有している等の事情(育児、介護等を含む)により、修業年限を超えて一定の期間にわたり、計画的に教育課程を履修し卒業することを希望する旨を申し出たときは、それを認めることができる制度。同制度を活用することで、4年間で卒業する学費とほぼ同額で5年または6年間学べるというメリットがある。
主に大学院では国内の多くの大学で採用されている制度だが、学部段階で導入している大学は非常に珍しい。また、理学部が属する神楽坂キャンパスは都内からのアクセスも良いため、忙しい社会人が仕事の合間を縫って大学に通う際にも有用であり、近年要請される社会人に対するリカレント教育にも対応した制度といえる。
これまでは、社会人特別選抜入試(入学時点で社会人である者のみを対象とした入試制度)で入学した学生のみを対象としていたが、今回の対象者拡大により、一般の入試で入学した社会人学生、入学後に職を得て社会人となった学生、職業を有していなくても育児・介護等により修業年限で卒業することが困難な学生等のニーズにも対応することが可能となる。
このほか、社会人学生の学びやすさを考慮し、第二部では2023年度から授業時間を後ろ倒しにした。第6時限の開始が18時10分となり、例えば丸の内で17時30分まで仕事をしていても間に合うようなった。また、働きながら学べる環境を整える施策として、東京理科大学の関連子会社と連携。学生に昼間の就労先を紹介することで、勉学の継続を経済的に支援する制度(就業学修サポート制度)を実施している。こちらも制度創設から3年が経過し、さらに使いやすい制度にブラッシュアップしていく予定としている。
長期履修制度を活用している学生(理学部第二部物理学科)からは、「日中に仕事があると、履修できる科目の数は限られます。また、急を要する仕事や出張が入ると、そちらを優先せざるを得ません。そういう社会人学生たちがきっちり4年で卒業単位を満たすのは正直難しいです。4年制の場合とほぼ同じコストで5年や6年といった余裕を持ったスケジュールで学修を進められるこの制度は、学びを続けたい社会人にとってとても有用な仕組みだと思います」「現在5年履修を適用しています。この制度の一番のメリットは、年間当たりの授業料等の負担が実質的に軽くなることです。勤務や家庭のことなど、自分のライフスタイルの軽重に応じて計画的かつ柔軟に科目を選択することができることもメリットです」といった声が寄せられている。
東京理科大学の理学部第二部は日本で唯一の夜間の理学部として、これまでも様々な目的意識を持つ、幅広い年齢層の学生を受け入れてきた。長期履修制度の活用により、これまで以上に学び続ける環境の拡充が期待される。