近畿大学水産研究所はニホンウナギの完全養殖に初成功した。人工種苗から育てた親魚から仔魚を育てたもので、2010年に水産総合研究センター(現国立水産研究・教育機構)が成功しているが、大学では初めて。26日現在で仔魚の飼育期間は112日に達した。

 近畿大学によると、水産研究所は和歌山県白浜町の白浜実験場で1976年からニホンウナギの種苗生産研究を始め、1984年と1998年に採卵・ふ化に成功したが、仔魚がえさを食べるまでに至らなかった。

 そこで、和歌山県那智勝浦町の浦神実験場で水産総合研究センターが成功させた手法で2019年に研究を再開したところ、人工ふ化に成功した。人工ふ化したメスに2022年9月から卵の形成に関与するホルモンなどを投与したところ、2023年7月に受精卵が得られ、仔魚がふ化した。その後も負荷が確認されている。3カ月から半年程度で稚魚のシラスウナギに変態し、そこから約1年で一般的な食用サイズに成長する。

 ウナギは日本人の食生活に欠かせない食材で、天然のシラスウナギを用いた養殖が出荷量の99%を占めている。しかし、漁獲されるシラスウナギの量が著しく減少し、養殖に必要な種苗の確保が大きな問題になっている。

 ウナギの完全養殖は受精卵をシラスウナギに育てるのが最大の難関といわれる。水産総合研究センターの研究は完全養殖に成功したものの、コスト面で課題を残した。水産研究所はコスト面の課題解決も含め、養殖用種苗として利用できるシラスウナギの育成に焦点を当てて研究を続ける。

参考:【近畿大学】ニホンウナギの完全養殖に大学として初めて成功 養殖用種苗(稚魚)としての実用化をめざし、今後さらに研究を継続

近畿大学

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