一部の大学医学部入学試験で女子や浪人年数の多い受験生を不利に扱っていた問題で、全国医学部長病院長会議は、性別などで合否判定が不利にならないよう求める規範をまとめ、公表した。不正や不適切な事案があれば、除名を含めた処分とする厳しい内容で、各大学が自主的に対応することを強く求めている。
全国医学部長病院長会議は医学部のある国公私立大学や付属病院が参加する一般社団法人。規範によると、東京医科大学などで明るみに出た医学部入試の不適切な合否判定を「社会的に容認できない行為」として強く批判した。
特に、女子や浪人年数の多い受験生に対する合否判定での差別は許容できるものでないとして、不正や不適切行為が分かれば会議からの除名も含めた処分対象にするとしている。文部科学省は「性別で異なる取り扱いを設けることは不適切である可能性が高い」との立場を取っており、文科省より一歩踏み込んだ厳しい内容といえる。
内部進学枠や同窓生子弟枠などの設置には、各大学の教育理念やそれに基づくアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)の裏付けが必要とし、要件を満たす受験生に等しく機会を与え、外部から見て公平な選抜方法を取ることを求めた。
ただ、全国医学部長病院長会議に調査権はなく、規範に従って対応するかどうかは各大学の判断に委ねられる。このため、規範の実効性については疑問の声も上がっており、大学医学部や付属病院全体に対する批判をかわす意向も透けて見える。