進行がん患者の生命予後を、血液検査データ・心拍数・呼吸回数だけで高精度に推測する手法を、筑波大学の研究グループが開発した。

 これまで、進行がん患者の生命予後は、主に医師の経験に基づいて推測されてきた。しかし、医師の経験に基づく推測は、生命予後を実際より長く見積もる傾向があり、正確性に欠けていた。そのため、客観的な情報を含めた推測方法がいくつか開発されてきたが、いずれも医師の診察がないと推測できないという欠点があった。

 今回開発された手法は、患者の血液検査データ・心拍数・呼吸回数を入力するだけで、患者ごとに7日後、14日後、30日後、56日後、90日後の生存確率が一度に計算できる。しかも、世界的に使われている従来の推測方法よりも精度が高いという。また、血液検査のたびに繰り返し推測ができるため、治療効果や体調の変化を鋭敏に反映した結果を得ることが可能だ。

 本研究成果は、患者の生命予後を適切に判断し、最善の治療を検討することに活用できるだけでなく、患者自身が自分の状況を理解し、今後の医療・ケアについて考えるための手がかりとすることや、遠隔医療での活用も考えられる。

 ただし、今回の研究では、緩和ケアを受けることになった進行がん患者のみを対象として解析しているため、緩和ケアを受けていないあらゆる進行がん患者においても活用できるかという検証はこれから。また、本手法を使えば患者自身や家族でも自ら知りたい時に生命予後を推測できるが、それが本人・家族にとって良いことなのか?という点については、今後議論の必要があるとしている。

論文情報:【European Journal of Cancer】A combination of routine laboratory findings and vital signs can predict survival of advanced cancer patients without physician evaluation: a fractional polynomial model

筑波大学

文系、理系から体育、芸術にまで及ぶ学問を探求し、学際融合、国際化への挑戦を建学の理念とする未来構想大学。

筑波大学は1872(明治)年に開校されたわが国初の師範学校が始まりです。その後、昭和48年に移転を機に東京教育大学から筑波大学へと変わりました。現在の教育体制は9学群、23学類ですが、学生は枠組みを超えて講義を受けることができ、創造的な知性と豊かな人間性を備え[…]

この記事が気に入ったらおねがいします。

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。