他の論文に引用された回数が上位1%に入った論文を過去10年間に複数執筆した高被引用研究者の数で、中国科学院が初めて米ハーバード大学を抜き、トップに立ったことが、英調査会社クラリベイトの調べで分かった。国別では依然、米国が中国を抑えて首位を維持しているが、科学の世界でも米中の覇権争いがし烈さを増している。
クラリベイトによると、研究機関別のトップ5は中国科学院270人、ハーバード大学237人、米スタンフォード大学126人、米国立衛生研究所105人、中国・精華大学78人の順。トップ10には米国6校のほか、中国2校、英国、ドイツ各1校が並ぶが、日本は東京大学11人の114位が最高で、世界トップレベルの研究が進んでいない実態が明らかになった。
中国科学院は政府直轄の組織で、100以上の研究機関を傘下に抱える。科学者は約6万人おり、うち半数が教授、准教授とされる。海外で研究していた研究者を国の支援で呼び戻した結果、中国全体の科学技術力が向上したのを反映しているとみられている。
国別のシェア数は米国の37.5%がトップ。中国が17.9%で2位、英国8.1%、ドイツ4.7%、オーストラリア4.5%と続く。6位以降はカナダ、オランダ、フランス、香港、イタリアの順で、日本はトップ10に入っていない。
米国が微減傾向であるのに対し、中国が追い上げており、米国に中国が挑む政治の世界と同じ構図が科学技術分野でも見える。
参考:【クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社】クラリベイト世界最高峰の研究者を選出 高被引用論文著者リスト2023年版発表