畿央大学と岸和田リハビリテーション病院の研究グループは、上肢麻痺の評価であるFMAとMALに関し、FMAの上肢項目(FMA-UE)のスコアを統計的に分割し,MALにおける麻痺側上肢の使用頻度の傾向の違いを明らかにした。
脳卒中後上肢麻痺への評価においては,運動機能だけでなく生活の中での使用頻度の評価が重要だ。上肢麻痺の評価には、FMA(ヒューゲルメイヤーアセスメント)とMAL(モーターアクティビティログ)の2つの評価法が広く採用されている。FMAの上肢項目(FMA-UE)とMALの間の相関は明らかになっているが、FMA-UEスコアにおける重症度と使用頻度の傾向の違いについて明らかにした研究はなかった。
研究グループは、初発の発症後3ヶ月以内の脳卒中患者203名を対象とし、FMA-UEにおけるMAL-Aの傾向の変化および変化するポイントをSegment回帰分析によって検討した。Segment回帰分析とは、異なるグループに分類された独立変数が、これらの領域で変数間に異なる関係を示す場合に用いられる統計手法。Segment回帰分析では特定の点(変曲点)によって、以前に確立されたパターンから変化を示す可能性があることが示される。
その結果、FMA-UEの45.3点を境にMAL-Aの回帰直線の傾きは大きく増加した。これにより、亜急性期の脳卒中後上肢麻痺において,FMA-UEが45.3点に達すると,麻痺側上肢の使用頻度の傾向が変化する可能性が示唆された。
今回の知見は,麻痺側上肢へのリハビリテーションにおいて,機能訓練や生活への参加に向けた介入などの治療戦略を考える上で、非常に有用であるとしている。