東京大学や京都大学などの共同研究グループは、冬の雷活動によって発生した2種類の放射線バーストを、石川県金沢市の複数の高校で同時観測することに成功し、雷発生の前兆現象となった可能性を示した。研究グループには他に、名古屋大学、神戸市立工業高等専門学校、近畿大学、北海道大学、金沢大学、富山大学、静岡県立大学、首都大学東京や高校・企業・機関・自治体などが多数参加している。

 これまで、雷活動は「雷発生のきっかけ」が未解明だった。近年、放射線の役割が注目され、研究グループは2006年より、新潟県や石川県で冬季雷に伴う放射線現象の地上観測を推進。2007年に雷雲から数分間放出される微弱な放射線の上昇現象「ロングバースト」の観測に成功し、雷雲中で電子が光速近くまで加速することを示した。2017年には雷放電と同時に発生した1秒以下の短く強い放射線バーストである「ショートバースト」を観測し、雷放電の大気中での原子核反応を解明。しかし継続時間の異なるロングバーストとショートバーストの相互関係や雷放電への影響は未解明だった。

 研究では2018年1月10日に、石川県金沢市の上空を通過中の雷雲から1分間ほど発せられる微弱なロングバーストを観測。さらにその観測中に雷放電が発生してロングバーストが消失した後、原子核反応に由来する1秒未満の明るいショートバーストを観測した。今回の観測により、ロングバーストがショートバーストや雷放電そのものの発生を促進した可能性を指摘した。

 研究チームは若手研究者が中心。世界的にも珍しい日本海沿岸の冬季雷に着目し、石川県内の高校や企業などと協力して観測網を整備しており、今後も拡大予定という。

論文情報:【Communications Physics】Gamma-ray Glow preceding Downward Terrestrial Gamma-ray Flash

大学ジャーナルオンライン編集部

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