中央アジアのカザフスタン人、キルギス人、タジキスタン人の健康状態がロシア人より良好であることが、上智大学国際教養学部の皆川友香准教授、日本大学経済学部の齋藤安彦研究特命教授の研究で分かった。
上智大学によると、皆川准教授らはWHO(世界保健機関)が公表した2019年版生命表と世界価値観調査のデータを使い、ロシア人、カザフスタン人、キルギス人、タジキスタン人の平均余命、健康余命、幸福余命などを調べた。
その結果、30歳以上の男女の平均余命、健康余命、幸福余命を国別で算出したところ、男性の平均余命はキルギスが最も長い43.23年、ロシアが39.69年で最も短かった。女性はキルギスが最長の49.23年で、ロシアの48.94年がこれに続いた。
男性の健康余命はタジキスタンの28.80年とロシアの17.90年で10.90年、女性はキルギスの29.84年とロシアの19.02年で10.82年の差があった。幸福余命はキルギスの男性40.21年、女性47.08年が最長で、ロシアの男性33.23年、女性38.73年が最短だった。
4カ国は旧ソ連構成国。1991年の旧ソ連崩壊による社会不安やストレスの増大で平均寿命の低下が起きていた。特にこの影響は旧ソ連を主導していたロシアで顕著だったが、皆川准教授らはこの差が現在も続いているとみている。