沖縄県の琉球列島で2019年以降に地域絶滅したと考えられている海棲哺乳類ジュゴンが今も生息している証拠を、龍谷大学先端理工学部の丸山敦教授、沖縄県環境科学センター総合環境研究所の小澤宏之所長が確認した。
龍谷大学によると、丸山教授らは沖縄本島北東部の久志地区、伊良部島の佐和田地区で発見された大型草食動物のフンをDNA分析したところ、ジュゴンのDNA断片が見つかった。草食動物のフンには自身のDNA断片が混じり込むことがあり、丸山教授らはこれらのフンがジュゴンのものとみている。屋那覇島でも大型草食動物のフンが見つかっているが、これからはジュゴンのDNAが検出されなかった。
さらに、2010年以降のジュゴン目撃情報、ジュゴンが噛んだとみられる跡などを検討した結果、丸山教授らはジュゴンが琉球列島の沖縄本島周辺海域、宮古諸島、八重山諸島に生息しているとみている。
ジュゴンは海に暮らす大型の草食哺乳類。成獣で体重が250~900キロになる。かつては琉球列島の広い地域で生息していたが、開発によるえさ場の減少などから数を減らし、環境省や沖縄県のレッドリストで「絶滅危惧ⅠA類」に指定されている。
2019年には沖縄本島の今帰仁村でメスの成獣が死亡して漂流しているのが見つかったあと、正式な目撃情報が絶えていたことから、琉球列島のジュゴンが地域絶滅したとする論文が発表されていた。