新潟大学大学院医歯学総合研究科の藤本篤講師(研究当時)、阿部理一郎教授、井口清太郎特任教授らの研究グループが、ビデオ通話を利用した皮膚疾患の遠隔診療の精度を調べたところ、皮膚科専門医が他分野を専門とする医師より高い診断精度を発揮することを見つけた。
新潟大学によると、研究グループは既に診断が確定している皮膚疾患患者の皮膚状態をビデオ通話の「ZOOM」を通じて皮膚科専門医、皮膚科専攻医、非皮膚科専門医各6人の18人に見せ、診断してもらった。
その結果、診断精度は皮膚科専門医が77.8~89.0%、皮膚科専攻医が27.8~77.8%、非皮膚科専門医が22.2~33.3%で、皮膚科専門医が高い診断結果を示すことが確認された。さらに、乾癬を含む炎症性角化症、多型滲出性紅斑を含む炎症性皮膚疾患、遺伝性角化症では、皮膚科専門医だけが80%以上の高い正診率を示している。
多くの皮膚疾患は医師の視診に触診を加えて診断されるが、最近一般的になりつつある遠隔診療では触診が使えない。これまで医師の視診だけでどこまで正確な診察ができるかを検証した研究がなかった。
研究グループは今回の研究結果を第一歩にして今後、さまざまな皮膚疾患に対して診断精度を検証することにより、遠隔診療の適正な促進を実現できるとしている。