神経科学(ニューロサイエンス)のエビデンスを応用したリハビリテーション研究で知られる畿央大学のニューロリハビリテーション研究センターが、開設10周年を迎えた。
ニューロリハビリテーション研究センターは、ニューロリハビリテーションに関する研究の発信、研究の指導、web・SNSを通じた情報提供、各種研究会やセミナーの開催、専門職向けリカレント教育、地域住民向け講座の実施、他の研究機関との共同研究会など、多岐にわたる活動を展開している。
センターには理学療法学科や大学院健康科学研究科の教員を含む7名の研究者と客員研究員が所属。2014年度から2023年度にかけての10年間で発表した研究成果は、学術論文が合計316編、そのうち査読付きの国際論文が189編、査読付きの国内論文が28編、招待総説が99編。また、著書は分担執筆を含めると74編に上る。新型コロナウイルスの影響で2020年と2021年は落ち込みが見られたが、国際学会発表は74回、国内学会発表は494回、招待講演(民間企業からの依頼を除く)は344回、さらに、学会表彰は26件、年次外部研究費の獲得件数は累積にすると93件を数える。
初期の活動は、ニューロリハビリテーション関連のセミナーやフォーラムの開催が中心だったが、最近では主に専門領域の研究会を主催しており、この10年間で合計5,000名以上が参加した。センター設立以前の活動を含めると参加者は約15,000名にも上り、専門職のリカレント教育に大きな役割を果たしてきた。
その後、多くの研究機関(東京大学、明治大学、東海大学、立教大学、東京都立大学、武庫川女子大学、国立障害者リハビリテーションセンター研究所、フランス国立衛生医学研究所、リヨン大学病院、リヨン高等師範学校など)や臨床施設(主に大学院生が属している施設)との共同研究を通じ、多くの研究費を取得するとともに、国内最大規模のCREST獲得にもつながり、国際共同研究の主導的な役割を担うようになった。
最近では、YouTube動画やSNSを通じた研究内容のわかりやすい発信、地域住民向けの腰痛予防講座、シニア層向けの脳講座、子どもの運動発達に関する定期検査なども行っている。
このようなセンターの知名度の向上に伴い、毎年、センターやその研究者の活動を知った高校生が畿央大学に進学する例も見受けられる。
今後もニューロリハビリテーション研究センターでは、研究発信と地域貢献をさらに推進し、「ニューロ」に限らず、より広範なウェルビーイングに関わる研究センターへと成長するとともに、イノベーションを生み出す場所として成長していくことを目指す。