2024年5月29日、麻布大学が推進する動物共生科学ジェネラリスト育成プログラム、通称「麻布出る杭プログラム」を修了した4期生が研究成果を発表した。当日の会場は、通常の卒業研究のポスター発表会と同じ形式ながら「どんどん聞きに来てください」とアピールする発表者のもとに研究好きな学生と教員が集まって質問が飛び交い、ライブ会場級の熱気に溢れた。

 麻布出る杭プログラムは、ヒト・動物・環境の持続的健康社会の構築のために世界をリードできる人材の育成を目指し設計された。文部科学省の令和2年度大学教育再生戦略推進費「知識集約型社会を支える人材育成事業」の『メニューⅡ 出る杭を引き出す教育プログラム』において全国の大学で唯一採択され、中間評価で最高評価「S」を獲得している。

 学生の研究意欲を高め「出る杭」を引き出すため、学部1年次後期という早い段階から“本物”の研究に取り組むことができるのが最大の特徴。参加を希望する学生は、単位修得に関係なく「やりたい」「知りたい」という純粋な気持ちで応募してくる主体的な学生が多く、大学教員にとっても、共に研究し、新しい知見を増やし、喜び合える“仲間”という存在になっているという。

 参加した学生からは「最初は軽い気持ちで参加したが、まさかこんなに研究好きになるとは思わず、新しい自分に驚いた」「教員から指示を受けるのではなく、自分で新しい仮説を立てて考えて、自分で研究したいと思えるようになった」「研究職への興味が出て、将来の進路の選択肢が広がった。大学院への進学意欲も湧いた」といった感想が寄せられ、指導を担当した教員たちも口を揃えて「参加学生の探究心の強さ、研究分野に対する興味の持ち方が群を抜いて素晴らしい。ここまで自発的にチャレンジして研究に取り組めるとは」と喜びの声がきかれた。

 プログラムの立役者である菊水健史教授(獣医学部動物応用科学科)は「優秀な学生は、ほっといても伸びていきます。そのような学生に同プロジェクトへの参加を提供すると、成長スピードは更に加速し、学部卒業時には修士課程ぐらいのデータや思考が育ってきます。やはり自発的な目的意識が高いので、科学的な手法を学ぶ姿勢、データから言えることの価値等をとてもスムーズに習得していきます。将来、サイエンスリテラシーだけでなく、協同性や学び続ける姿勢等、社会人として最も求められるような特性も高いと感じています」と語った。

 「麻布出る杭プログラム」は2023年度から高大接続につなげ、高校生も同じように、自分で「不思議」や「課題」を見つけ、解決に向けたアプローチを考え、チャレンジできる環境となっている。高校生が大学の先生から直接の指導を受けながら研究にチャレンジできる環境も整えている。

 また、海外チャレンジプログラムも開始し、4人の学生が海外で自分の研究をぶつけて議論してきたという。菊水教授は「このような機会を増やし、自分のチャレンジを研究室、更には日本という殻を破り、積極的に世界に向けてチャレンジしていってほしい」と期待を寄せている。

 発表会当日の発表内容は、麻布大学「麻布出る杭」特設サイトから見ることができる。

参考:【麻布大学「麻布出る杭」特設サイト】好きって素晴らしい!ジェネプロ研究プロジェクト4期生成果発表会&修了式~発表ポスターも公開します

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麻布大学のルーツは、明治23年(1890年)、與倉東隆によって東京の麻布(現 港区南麻布)に開設された「東京獣医講習所」にさかのぼります。1950年に麻布獣医科大学として開学、1980年に麻布大学に改称。麻布大学では建学の精神「学理の討究と誠実なる実践」のもと[…]

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