京都大学の柳田充弘名誉教授、近藤祥司医学部附属病院准教授、沖縄科学技術大学院大学照屋貴之博士らの研究グループは、最先端技術「メタボロミクス」を用いた網羅的ヒト血液代謝物解析により、絶食により代謝活性化が誘導されることを発見した。

 従来、ヒトは飢餓適応能力が高いことがよく知られており、さらに最近モデル生物ではカロリー制限や飢餓による寿命延長効果が注目されている。しかしながら、ヒトの長期飢餓での網羅的代謝変動やその効果は謎のままであった。同研究グループはこれまでに、ヒト血液メタボロミクス解析に最適な手法を独自に獲得しており、今回、ヒト絶食において、エネルギー補給以外の未知の健康効果を探索することとした。

 4名の若者による約3日間の絶食の代謝影響を検証した結果、当初の予想に反して、絶食により、120個以上のメタボライト中、3分の1以上を占める44個の上昇が観察された。その中には、従来知られていたエネルギー補給関連代謝(カルニチン、ケトン体や分岐鎖アミノ酸)の活性化以外に、抗酸化物質上昇、ミトコンドリア活性化、プリン・ピリミジンを含むシグナル伝達系活性化など、多彩な代謝活性化が判明した。興味深いことに、同グループが2016年に報告した老化マーカーと呼べる老化で減少するものも含まれていた。

 今回の成果は、今まで知られていなかった飢餓による若返り効果の可能性を示唆するものであり、今後のさらなる検証が期待される。

論文情報:【Scientific Reports】Diverse metabolic reactions activated during 58-hr fasting are revealed by non-targetedmetabolomic analysis of human blood

京都大学

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