東京工業大学、早稲田大学、富山大学の研究チームは、住宅の実質エネルギー消費ゼロ(ZEH)の実現を保証する太陽光パネルと蓄電池に対する投資最適化手法を開発した。他に大阪大学、広島大学、北九州市立大学、京都大学が参加。工学と経済学の文理共創研究の成果という。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、高断熱化外皮と高効率省エネルギー設備を備え、再生可能エネルギー等を利用して、年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロかマイナスにする住宅を指す。家庭部門の省エネルギー化にはZEH実現が不可欠だが、住民視点からの設備普及促進策に課題があり、特に太陽光発電システムや蓄電池システムの適切な設備投資量の検討が不十分だった。
研究チームは、経済性とZEH達成を両立する、データに基づく太陽光パネルと蓄電池の投資最適化手法を開発。これまで最適解の導出に多大な計算時間を要したが、今回蓄電池の充電量推移に関する手法(非凸制約の変換手法)を考案し、計算が簡単な線形最適化問題への帰着に成功した。
この手法により、福岡県北九州市城野地区の実際の住宅群電力データを用いて試算したところ、適切な電力価格設定で設備投資を行うと、住宅電力の経済的費用が平均約35%の削減可能性が実証された。また、最適化手法による投資量では、再生可能エネルギー由来の発電量が消費電力量を上回った。さらに、地域での蓄電池共有に基づく設備投資では、経済的費用が約40%削減され、少ない太陽光パネル面積で地域レベルのZEH実現の可能が示された。
これにより、住宅の電力消費におけるCO2排出量を削減し、カーボンニュートラルへの世界的な取り組みに貢献できるとしている。