断熱性能の向上と省エネ、創エネで年間のエネルギー消費量実質ゼロを実現するネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)が夏の停電時に在宅避難可能となることを、早稲田大学大学院創造理工学研究科の天田侃汰大学院生、理工学術院総合研究所のキム・ジョンミン次席研究員、理工学術院の田辺新一教授、旭化成ホームズの検証で明らかになった。

 早稲田大学によると、研究グループは出力4.62キロワットの太陽光発電と容量5.6キロワット時の蓄電池を設置した鉄骨2階建て延べ約46平方メートルのZEH実験住宅を静岡県富士市に建築して72時間停電したと想定、エアコンや冷蔵庫、LED照明、テレビ、給湯器などを稼働させてその間の電気使用量や温熱環境を測定した。

 その結果、家電製品を通常通り使用しながら、給湯器からお湯を出すことができ、エアコンの自律運転で熱中症を回避できる温度に室内が維持されていることが分かった。

 ZEHは外皮の断熱性能向上と高効率機器使用による省エネ、太陽光発電の設置による創エネでエネルギー消費量の収支実質ゼロを実現する住宅が認証される。政府は2018年に閣議決定した第5次エネルギー基本計画で、2020年までにハウスメーカーなどが新築する注文戸建住宅の半数以上、2030年までに新築住宅の性能値平均でZEH基準を満たすとする目標を掲げ、普及に力を入れている。

論文情報:【Energy and Buildings】Feasibility of staying at home in a net-zero energy house during summer power outages

大学ジャーナルオンライン編集部

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