九州大学は、最先端半導体の開発に不可欠なEUV光(極端紫外光)の照射と照射結果を解析評価する新会社「EUVフォトン」を、100%子会社である「九大OIP」を通じて設立した。国内の半導体産業は新素材の開発が強みとされるが、EUV光の照射と解析評価は海外の試験研究機関に頼っていた。
九州大学によると、新会社のEUVフォトンは資本金100万円で、福岡市に本社を置く。7月末に法人が設立され、顧客候補企業とのサービス内容協議を経て2025年度中にEUV光の照射を始める予定。照射結果を解析し、評価できる人材の育成にも取り組む。
最先端半導体の開発にはEUV光が欠かせず、米国の半導体工場では既に高精細のEUV光照射装置導入が始まっている。EUV光源は九州大学の岡田龍雄名誉教授が2005年に発表した論文が基盤で、九州大学にEUV照射に必要な研究成果がある。そこで、九州大学は国内で初めてとなるEUV光の照射と解析評価を行う新会社の設立を決めた。
国内の半導体産業はバブル期に世界を席巻したが、台湾や韓国、中国などライバル国との競争に後れを取り、苦しい状態に追い込まれている。EUV光照射を使って最先端半導体の開発が進む新時代に向け、新会社の存在が国内の半導体産業巻き返しの起爆剤となることが期待されている。