自然科学研究機構生理学研究所、東京大学、信州大学の共同研究グループは、「異種胚盤胞補完法」という特殊な方法を用いて、腎臓が欠損したラットの体内に、マウス幹細胞由来の腎臓を作製することに世界で初めて成功した。

 腎臓移植は、腎不全患者に対する有効な治療法であるものの、慢性的なドナー不足となっているのが現状である。総希望者数のわずか1〜2%程度しか移植を受けることが出来ない状況を鑑み、試験管内でヒト人工多能性幹細胞(induced Pluripotent Stem cell:iPS細胞)から腎臓を作り出す試みが続けられているものの、まだ立体的かつ移植に適したサイズの腎臓を作製するには至っていない。

 今回、同研究グループは、腎臓を作るうえで不可欠なSall1遺伝子が欠損したラットの受精卵にマウスの胚性幹細胞(Embryonic Stem Cell:ES細胞)を数個注入し、ラットとマウス両方の遺伝情報を持つキメラ個体を作製した。そのような手順で「胚盤胞補完法」を行い、腎臓が欠損したキメラ個体の体内に、マウスES細胞に由来する腎臓を作製 (再生)することを世界で初めて成功させた。

 本成果は、異種胚盤胞補完法により腎臓の作製が可能であることを科学的に示している。将来的に、全ての組織が多能性幹細胞由来の細胞で作製することが出来れば、免疫抑制剤を過度に使用しないで済む、より負担の少ない移植用ドナー腎を作製することにつながる。移植臓器を作製する再生医療の発展に大きく貢献すると期待される成果である。

論文情報:【Nature Communications】Generation of pluripotent stem cell-derived mouse kidneys in Sall1-targeted anephric rats

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