京都大学キャンパス内に、京都大学大学院医学研究科附属「がん免疫総合研究センター(CCII)」の新たな研究棟が完成し、2024年11月12日に開所式が行われた。

 「がん免疫総合研究センター(CCII)」の新研究棟は、地下1階、地上5階建て、延べ床面積9500㎡の建物。京都大学医学部附属病院に隣接し、日本を代表する建築家・安藤忠雄氏が設計した。

 新棟建設は、がん治療薬「オプジーボ」の製造・販売を手掛けるブリストル・マイヤーズ スクイブ社による55億円(2019年は5300万米ドル)という多額の寄附金によって賄われ、これに加えて文部科学省および京都大学からの支援により実現した。新棟の正式名称は「がん免疫総合研究センターBristol Myers Squibb棟」。

 また、2024年3月に、株式会社ニトリホールディングスより、本庶佑 がん免疫総合研究センター長が進める研究活動に対して寄附があり、新棟内1階の多目的ホールを「ニトリホール」と命名している。

 今回の研究棟の完成で、これまで学内で分散していた研究者や学生、産業界との連携を担当する職員など100人余りが収容でき、研究を進めることができる。研究棟内には、全300名を収容できる実験室とオフィススペース、さらに地下の専用動物実験施設を含む共有施設や特殊機器専用スペースを設置。

 がん免疫療法は100年以上前から取り組まれており、現在は様々ながん種において、最初に選択されるべき治療法となっている。その治療標的の中心となっているPD-1は、日本で本庶佑博士によって発見され、20年以上に及ぶ地道な基礎研究、臨床試験を経て新しいがん免疫療法に応用された。さらに、多くの研究者による徹底的な研究によりがん細胞に対する免疫反応の理解が格段に深まっている。

 一方で、このがんに対する免疫反応は非常に個人差が激しく、未だ全容解明には至っていない。「2050年までにはほとんど全てのがんを制御できる日が来る。」という本庶佑センター長の言葉を実現すべく、CCIIは研究努力を加速していくとしている。

参考:【京都大学大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター】CCIIの新拠点
【京都大学】株式会社ニトリホールディングスからのご寄附と「ニトリホール」命名について

大学ジャーナルオンライン編集部

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