岡山大学学術研究院医歯薬学域の平岡知浩大学院生、小原隆史助教、中尾篤典教授、松本尚美助教、頼藤貴志教授らの研究グループが、厚生労働省の21世紀出生児縦断調査のデータベースを解析したところ、乳児期にケガをするとケガの再発リスクが1.5倍に上がることが分かった。
岡山大学によると、研究グループは21世紀出生児縦断調査のデータベースから2010年5月生まれの子ども約2万人を抽出、1歳半までのケガの経験と7歳までの医療機関でのケガ治療歴を拾い出し、関連性を調べた。
その結果、全体の80.4%に当たる1万6,000人余が1歳半までにケガをし、ケガを経験しなかった子どもに比べて転落で約1.3倍、挟まれで約1.2倍、溺水で約1.3倍、誤飲で約1.4倍、熱傷で約1.5倍のリスクがあることが明らかになった。
乳児から未就学児のケガは転倒や切り傷が主だが、溺水、窒息など命にかかわるものもあり、再発防止が各家庭で重要な課題になっている。過去の研究は単一のケガのみに焦点をあてられたものが多く、再発に関する包括的な研究が十分でなかった。
研究グループは研究結果がケガ予防策を見直すきっかけになり、1歳半健診時に医療機関や母子保健行政当局が啓発活動を進める一助になることを期待している。
論文情報:【Scientific Reports】A nationwide longitudinal survey of infantile injury and its recurrence in Japan