畿央大学の岡田洋平准教授らの研究グループは、パーキンソン病患者において、手動車椅子の駆動が困難でも、足こぎ車椅子であればスムーズかつ十分な速度での移動が可能であることを実証した。
パーキンソン病患者は、疾患の進行に伴い歩行能力が低下するため、日常生活で車椅子が必要となることがある。しかし、手動車椅子を使用する際にも、駆動能力が制限される場合が多いことが課題である。
一方、パーキンソン病患者は自転車のペダル操作能力が比較的保たれていることが知られているため、本研究では、ペダル操作で駆動することができる「足こぎ車椅子」に着目し、その有効性を検証した。
すくみ足を有するパーキンソン病患者2名にご協力いただき、10メートル直進路の駆動能力を足こぎ車椅子と手動車椅子とで比較した。症例1では、手動車椅子の約6倍の速度で足こぎ車椅子を駆動し、完走することができた。症例2は、強い前屈姿勢のため手動車椅子では途中で停止したが、足こぎ車椅子では十分な速度で完走することができた。
以上から、パーキンソン病患者の足こぎ車椅子の駆動能力は、従来の手動車椅子と比較して非常に高いことが明らかとなった。手動車椅子の駆動能力が著しく低下している患者であっても、足こぎ車椅子を導入することで、手動車椅子に比べてスムーズかつ十分な速度で移動可能となると考えられる。
パーキンソン病患者にとって、日常生活で自由に動けることの意義は大変大きく、足こぎ車椅子の導入により生活の質の向上への寄与が期待できる。今後は、方向転換や狭いスペースでの操作性など、より実用的な足こぎ車椅子の検証を進めていく予定としている。