京都大学の研究グループが厚生労働省の管理するナショナルデータベースを活用して日本の子どもの近視発症率とその経年変化を調べたところ、近視発症の若年化が見られることが分かった。

 京都大学によると、研究グループは厚労省データから2014年から2020年の0~14歳の近視有病率と年間発症数を解析したところ、小児の近視有病率が36.8%で、単位人口当たりの近視発症数は8歳で最も高いことが分かった。

 単位人口当たりの近視発症数は10~14歳で経年的に減少していたのに対し、3~8歳では逆に増加が見られた。研究グループは近視発症の若年化が数字に表れたとみている。さらに、強度の近視はいずれの年代でも年々増えていることが明らかになった。

 2020年は新型コロナウイルス感染症の流行で緊急性の低い医療機関受診が控えられた。この影響で経年的に増加していた3~6歳の近視と診断された子供が突然減少に転じたが、8~11歳では急増を続けている。

 研究グループはコロナ禍のライフスタイル変化が子どもの近視に大きな影響を与えた可能性があるとみて、日本でも台湾のように政府主導の近視対策導入を検討すべきでないかと提言している。

論文情報:【Ophthalmology Science】Annual Trend of Myopia and High Myopia in Children in Japan: a Nationwide Claims Database Study

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。