京都大学こころの未来研究センターの北山忍特任教授(ミシガン大学教授)らの研究グループは、BCGワクチン接種義務の制度化が新型コロナウイルスの拡散率を低下させる可能性を示唆した。

 新型コロナウイルスによる感染者数や死亡者数は国ごとに大きく異なる。この事実の説明として、BCGワクチン接種義務の制度が関わっているのではないかと議論されている。しかし、現在のところ、国際比較データの分析に伴う方法的問題から結論は明らかではない。

 本研究では、国ごとの流行初期30日間における感染者数と死者数の増加の割合に注目。これにより報告バイアスの効果を排除し、さらに、様々な交絡要因を統計的に統制した上で、少なくとも2000年までBCGワクチンを義務付けてきていた国とそうでない国、計130数カ国の比較が試みられた。

 その結果、BCGワクチンの接種を少なくとも2000年まで義務付けていた国々では、そうでない国々と比べて、感染者数、死者数共に増加率が有意に低下。さらに、同様の結果は、期間を流行の初期15日間に設定した場合にもみられた。

 また、ここにみられるBCGワクチンの接種義務の効果はかなり大きい。例えば、アメリカはBCGワクチンの接種を制度的に義務付けたことは一切ないが、仮に接種義務を数十年前に制度化していれば、2020年3月30日における死亡者総数は667と推定できる。これは実際の数(2467)の約27%になる。

 この結果は、BCGワクチン接種義務の制度化により、新型コロナウイルスの流行を将来的に抑制できる可能性を示唆している。今後、各国ごとに、このような制度を採用・維持するための議論が必要になるとしている。

論文情報:【Science advances】Mandated Bacillus Calmette-Guérin (BCG) vaccination predicts flattened curves for the spread of COVID-19

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大学ジャーナルオンライン編集部

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