名古屋大学、東京大学、大阪産業大学の研究チームは、アルマ望遠鏡を使い、地球から132億光年離れた銀河に大量の塵と酸素を発見。塵が見つかった銀河としては観測史上2番目に遠い記録で、宇宙所期の星形成史をさかのぼる成果とされる。
138億年前の宇宙誕生(ビッグバン)直後、宇宙には水素とヘリウム、微量のリチウムしかなかった。そこから星が生まれ、星の中で核融合反応が進んで酸素や炭素、塵の原料になる元素が作られ、星が一生を終えるときに、これらの元素が宇宙にまき散らされたとされる。大量の塵の検出は、それ以前に多くの星の誕生と死があったことを示す。
研究チームは、南米チリにあるアルマ望遠鏡を使って銀河「MACS0416_Y1」を観測。この銀河はオリオン座の隣のエリダヌス座の方向、132億光年の距離にあり、今から132億年前、宇宙誕生から6億年後の姿が地球に届いている。観測により、この銀河内の大量の塵や酸素が放つ光を捉えることに成功。塵と酸素が検出された銀河としては、観測史上2番目に遠い(最遠の銀河「A2744_YD4」との差はわずか約600光年)。塵の総量は太陽の400万倍と見積もられた。
これは宇宙誕生から6億年という短い時間に大量の星の生死が繰り返されたことを示す。これまでに理論的予測を超える量の塵が宇宙の初期に存在したとされるが、今回の発見でその謎はさらに深まった。
今回の観測やハッブル宇宙望遠鏡等の観測結果により、この銀河は宇宙誕生から約3億年後に生まれ、約6億年経過後に再度活発な星形成活動を生じたことが判明。この成果は、私たちの周りにある元素がいつどのように作られたのかという現代天文学の大きなテーマに迫るものとしている。