東急建設株式会社と東京理科大学は、CO2排出量を削減するとともに、施工の省力化を実現できるコンクリート「ハイプロダクリート(High-producrete)」(商標登録出願中)を共同で開発した。

 コンクリート分野における低炭素化の実現には、主原料であるセメントの置き換えが効果的だ。「ハイプロダクリート」は、ポルトランドセメントを混和材に置き換えたコンクリート。用途によって置き換える比率は異なるが、今回開発したものは一般的な新設の土木構造物のコンクリート工事を対象とし、混和材である高炉スラグ微粉末を多く使用して、流動性を高めている。

 実構造物を模擬した壁部材による実大施工実験の結果、従来のコンクリートと比較してCO2排出量は最大で73%削減され、施工時間は58%削減される効果を確認した。構築した壁は、初期欠陥がない外観で、表面気泡や色むらも少ない良好な出来栄え。本年度中に「ハイプロダクリート」を現場適用する予定。

 一般的な新設の土木構造物のコンクリート工事に適用できる「ハイプロダクリート」は、呼び強度24・27・30、単位水量175キログラム/立方メートル以下、水結合材比55%以下。「ハイプロダクリート」のラインナップは今後増やしていく予定としている。

 「ハイプロダクリート」は、関東地方整備局が実施している「大学等研究機関とのマッチング」の公募により採択された東京理科大学の研究開発テーマ「混和材大量使用締固めを必要とする高流動コンクリートの開発」について、東急建設と東京理科大学が共同で研究開発を行った成果だ。

参考:【東京理科大学】省CO₂・省力化コンクリート「ハイプロダクリート」(High-producrete)を開発-コンクリートのCO₂排出量を最大73%削減し、施工時間も半減-

東京理科大学

真の実力を養う実力主義。科学技術の創造による持続可能な世界の実現をめざして

東京理科大学は、1881年に「東京物理学講習所」として創立され、140年以上の歴史を経て、4キャンパス7学部33学科、7研究科31専攻を擁する、理工系総合大学に発展。「理学の普及を以て国運発展の基礎とする」という建学の精神と、真に実力を身につけた学生を卒業させ[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。