株式会社マイナビは、大学1年生から4年生を対象とした「大学生アルバイト調査(2025年)」の結果を発表した。アルバイトをしている大学生の「経済的なゆとりがない」割合は54.8%で調査開始以来最高となった。(SC調査:5,031サンプル/本調査:903サンプル)

 アルバイトをしている大学生に「経済的なゆとり」の状況を聞いたところ、「経済的なゆとりがない」が54.8%(あまりゆとりがない+全くゆとりがない)で前年から5.6pt増加し、調査を開始した2022年以来最高となった。

 アルバイトをする目的(複数回答)について聞くと、貯金をするため(53.7%)、趣味のため(52.6%)、自分の生活費のため(34.0%)などの「お金のため」に関する項目が上位を占め、社会経験を積むため(30.4%)、スキルを身につけるため(16.8%)、就職活動に活かすため(15.9%)などの「社会経験」に関する項目よりもスコアが高い。

 アルバイトの平均月収は、希望月収81,800円のところ、実際は59,100円。生活費は月平均45,400円となっている。このうち一人暮らしの大学生は月平均59,000円の収入に対して生活費が55,200円と、生活費の負担が大きい様子がうかがえる。

 また「年収の壁」に対して就業調整をしている割合は54.6%。就業調整している人のうち「103万円以下」で調整をしている割合は94.3%(100万円を超えないようにしている+103万円を超えないようにしている)で、2025年2月の調査時点では、多くの大学生が「103万円の壁」を意識して働く時間や収入を調整していることがわかる。

 就業調整をしている大学生に「年収の壁の上限額を引き上げるべきだと考えるか」を聞いたところ、「引き上げるべき」とした割合は72.5%(引き上げるべき+どちらかといえば引き上げるべき)。「年収の壁の上限額を引き上げるべき」だと考える理由(複数回答)では、「生活費が高騰しているから」が44.7%で最も多く、自分の手取りが増えるから(44.6%)、最低賃金が上がっているから(43.2%)と続いた。生活に必要なお金が増えている現状と、そのために収入を増やしたいというニーズがうかがえる。

 今回の調査結果を受け、キャリアリサーチラボの宮本祥太研究員は「物価高騰などで生活費を含む支出のベースが上がる中で、アルバイト収入が『生活の足し』というよりも、『生活に欠かせないもの』になっている学生も少なくないのではないか。アルバイトによる収入や経験が大学生活を補完し豊かにするような社会的な賃金の枠組みについて、さらに議論を深めていくことが必要」とコメントしている。

参考:【株式会社マイナビ】「大学生のアルバイト調査(2025年)」を発表

大学ジャーナルオンライン編集部

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