株式会社リクルートマネジメントソリューションズは、2025年3~4月に全国で開催した公開型新入社員導入研修受講者718名および、2023年3~4月に実施したインハウス型新入社員導入研修・WEB学習プログラム受講者2,795名を対象に「新入社員意識調査2025」を実施し、その結果を公表した。
調査結果によると、働くうえで大切にしたいことのトップは「社会人としてのルール・マナーを身につけること」(53.6%)であり、2010年の調査開始以来、過去最高値となった。「周囲(職場・顧客)との良好な関係を築くこと」(35.0%)も上位だが、過去最低値であり、最下位は「会社の文化・風土を尊重すること」(2.6%)であった。新入社員時代に身につけるべきこととしては「社会人としての基本行動(報告・連絡・相談、PDCAなど)」(53.8%)がトップとなり、「会社の理念や価値観に沿った行動」(0.5%)が最下位であった。
これにより、会社の文化や理念よりも、社会人としての基本的な行動やマナーを重視する傾向が強まっていることが読み取れる。仕事や職場生活において不安に感じていることのトップは「仕事についていけるか」(64.8%)であり、「自分が成長できるか」(30.1%)は昨年比+4.6ポイントで、順位も上昇した。
Z世代(1990年代後半以降生まれ)の新入社員は、コロナ禍による対面コミュニケーション経験の少なさや、就職活動のオンライン化でリアルなマナー実践の機会が減少したことから、ルールやマナーへの意識が高まっている。また、VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)の時代背景から、正解のなさや将来への不安意識が強まり、仕事の力や成長への意識が高まっていると考えられる。
仕事・職場観に関しては、仕事で重視したいことのトップは「成長」(35.1%)、次いで「貢献」(23.8%)であり、「成長」の選択率は年々高まっている。最下位は「競争」(3.0%)で、2024年に続き最下位だった。
就職先を選ぶ際に重視するのは「働いている人が魅力的・職場の人間関係がよい」(39.4%)、「仕事内容が魅力的・やりがいがある」(36.8%)、「自分らしく働ける・強みや持ち味を生かせる」(35.8%)の順であり、「周囲の意見やすすめ(家族・先生・先輩・友人など)」(3.9%)が最下位だった。
働きたい職場像としては「お互いに助けあう」(69.4%)が圧倒的に多く、「アットホーム」(32.5%)は中位ながら過去最低値となった。上司に期待することは「相手の意見や考え方に耳を傾けること」(49.7%)、「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」(47.9%)が上位で、「部下に仕事を任せること」(7.5%)は最下位ながら過去最高値となった。理想の職場は「個性を尊重しながら助けあう職場」へ、理想の上司像も「よいことをほめながら丁寧に指導する上司」へと変化している。
現在の会社への勤続意向については、「現在の会社で勤め続けることにこだわらない」「どちらかと言えばこだわらない」(計49.5%)が、「定年まで現在の会社で勤めたい」「どちらかと言えば勤めたい」(計42.7%)を上回った。
HRDサービス推進部トレーニングプログラム開発グループの桑原正義主任研究員は、「Z世代は教え育てる存在にとどまらず、その異質性に学び生かすことで、共に未来を創っていける頼もしい存在でもある。順応させるだけでなく共創的関係を築くことで、VUCAとWell-beingの時代における、より良い個と組織の在り方を生み出していけるだろう」とコメントしている。