財務相の諮問機関である財政制度審議会に設置された歳出改革部会が初会合を開き、教育や科学技術分野を中心に議論した。その中で財務省は公財政教育支出が他の先進国より少ないとする指摘に対し反論する資料を提出とともに、研究開発費の規模は欧州主要国以上なのに、被引用件数の多い論文で劣るのは研究生産性が低いからだなどと指摘した。

 財務省の提出資料では、公財政教育支出について公財政支出の対GDP比はOECD(経済協力開発機構)諸国の中で平均値の7割にとどまっているが、日本の子どもの比率もOECD諸国の中で低く、在学者1人当たりの対GDP比に換算すると、米国を上回るなど他国とそん色ないと主張した。

 大学など高等教育進学率、学位保持率については、OECD諸国の中でトップクラスに位置しており、低所得者層の進学率がやや低いものの、中所得者層には平均以上の進学機会が開けているとし、無利子奨学金で格差是正を進めるべきとの見解を示した。

 私立大学の定員割れについては、18歳人口の減少にもかかわらず、入学定員が増加していることから、定員割れの私立大学に対し補助金減額をさらに進める方向を示している。

 国立大学運営費交付金の減少に対しては、減少幅を約1,400億円とする指摘があるが、付属病院黒字化による赤字補填金の解消などが含まれ、実質は400億円程度にとどまると反論した。逆に補助金が1,000億円増えていることを挙げ、公的支援は拡充されているとしている。

 歳出改革部会は膨張する国の予算を抑える仕組みを考えるため、4月に新設された。増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授を部会長に、大学教員、シンクタンク研究員らで構成する。

参考:【財務省】歳出改革部会(令和元年5月16日開催)資料一覧

大学ジャーナルオンライン編集部

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