高齢者の難聴が外出活動制限や心理的苦痛、物忘れと関連を持つことが、筑波大学、筑波技術大学の共同研究で分かった。2016年の国民生活基礎調査の回答データを分析した結果、明らかになったもので、共同研究チームは因果関係の検証を進める必要があるとしている。

 共同研究チームは厚生労働省が実施した2016年国民生活基礎調査から自宅で生活する65歳以上の高齢者(認知症で通院中を除く)13万7,723人を対象に回答内容を分析した。分析対象者の平均年齢は74.5歳。

 それによると、「耳が聞こえにくい」と回答したのは調査対象となった高齢者の9.0%に当たる1万2,389人。外出活動制限が28.9%、心理的苦痛が39.7%、物忘れが37.7%にあった。「耳が聞こえにくい」と答えなかった人は外出活動制限9.5%、心理的苦痛19.3%、物忘れ5.2%にとどまり、難聴とこれら3つに深い関連があることをうかがわせた。

 難聴とこれら3つの因果関係は明らかになっていないが、共同研究チームは難聴が健康寿命にかかわるさまざまな症状に影響を与えている可能性があるとみて、早期に適切な治療を受ける必要があるとしている。

 難聴は日本だけでなく、世界で増えており、家族や友人とのコミュニケーションが困難になるほか、認知症のリスク因子となるなど、健康寿命に影響を与えていると指摘されている。研究成果は日本老年医学会の公式英文誌に掲載された。

参考:【筑波大学】高齢者における難聴は外出活動制限・心理的苦痛・もの忘れと関連する ~平成28年「国民生活基礎調査」の分析~

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