日本工業大学の大澤正久教授(応用化学科)らの研究グループは、特定の有機分子を選択的に取り込んで発光色変化で応答するセンサー材料の合成に成功。その発光色が変化するメカニズムを解明した。今回の成果は英国王立化学会の無機化学系専門誌の中で最も権威がある『Dalton Transactions』の裏表紙に採択。昨年度に続いての掲載となる。

 研究グループは、外部刺激(すりつぶし、有機分子の接触、温度(熱)、など)によって発光色が変化するセンサー材料を開発している。特に、特定の有機分子に応答可能な材料の開発は、分子認識の観点から注目され活発に研究されている。

 今回、発光材料の有機配位子を化学修飾し、分子認識のためのホスト空間(鍵と鍵穴のように高選択性を表す場合の鍵穴に相当する部位)を分子間に創ることを目指した。従来の有機配位子を嵩高いターシャリーブチル基で化学修飾すると、分子間での疎水的空間創出に成功した。さらにこの空間を使った種々のアルカン(脂肪族飽和炭化水素)に対する認識能を試すと、ノルマルヘキサン(炭素数6個のアルカン)のみをその空間内に取り込んで、発光色が強い緑発光から弱いオレンジ発光へと変化した。

 炭素数が5,7,8,9,10のアルカンは取り込まれずに強い緑発光を示すが、炭素数6のヘキサンを加えたサンプルのみが弱いオレンジ発光を示す。構造解析により、ヘキサンが分子間に取り込まれて発光分子の構造を大きく歪ませて発光色が変化すると分かった。枝分かれ構造を持つアルカンも取り込まれず、高い選択性が明らかとなった。

 今後は、今回示した分子設計指針を基に、様々な有機分子の認識に取り組みたいとしている。

論文情報:【Dalton Transactions】Luminescence color alteration induced by trapped solvent molecules in crystals of tetrahedral gold(I) complexes: near-unity luminescence mixed with thermally activated delayed fluorescence and phosphorescence

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大学ジャーナルオンライン編集部

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