東京農工大学大学院農学研究院の小池伸介准教授、地域環境科学部の山崎晃司教授らの研究グループは、野生のツキノワグマが秋に大量のドングリを食べ、残り期間に必要な栄養を蓄えていることを突き止めた。ドングリが凶作の年はクマが人里に現れることが知られているが、他の季節の人里への出没も前年のドングリ凶作が影響している可能性があり、クマの科学的保護管理に貢献するとみられる。

 東京農工大学によると、研究グループは2005年から2014年、栃木県と群馬県にまたがる足尾、日光山地で34頭のツキノワグマの成獣に日々の活動を追跡できるGPS装置を装着、1日当たりのエネルギー消費量を推計した。
さらに、山中で採取したクマの糞1,247個から食べ物を特定するとともに、野生のクマが採食している計113時間分の映像から食べた量を推定、1日当たりのエネルギー摂取量を把握した。

 その結果、クマは春から夏にかけ、アリやキイチゴを食べていたが、いずれも森の中に散らばって存在しているため、効率的に栄養を摂取できず、エネルギー消費量が摂取量を上回っていた。

 秋は木に登って木の上でまとまって結実したドングリを主に食べることから、効率的にエネルギー摂取でき、エネルギー消費量を大きく上回る摂取量となっていた。秋のドングリによるエネルギー摂取量が年間摂取量の80%を占め、クマが秋に食いだめしていることが明らかになった。

論文情報:【Ecosphere】Estimating the seasonal energy balance in Asian black bears and associated factors

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東京農工大学

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大学ジャーナルオンライン編集部

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